「写真を撮る」「コーディネート」「写真を学ぶ」の3本の柱をメインに

“あなたがよりあなたらしく生きるお手伝いをする”人柄写心家、TSUGU。

 

カメラマンになって8年目になる今年、カメラを始めたきっかけから、2010年にプロとして独立後、

これまでの道のりを振り返った、特別インタビュー。

 

注ぎ込んだ夏のボーナスが、運命の分かれ道

カメラを本格的に始めるきっかけは?

 

TSUGU:本格的な一眼レフカメラを買ったのは22歳の時。

社会人1年目の夏のボーナスで何を買おうかなといろいろ迷って、電気屋さんを物色していたんですよね。プレステとか、テレビいいな、っていう同一線上に、一眼レフがあったんです。

 

そこから色々調べて、一眼レフおもしろそうだなぁ、カメラが趣味になったら一生出来そうだなぁと思って。それで結局、ボーナス全部と給料半月分をツッコんで、完全に“ノリ”で買いました(笑)

 

あの時ボーナスが出てなかったらカメラマンやってないですね。運命のボーナスだった(笑)。

 

でも一眼レフを買ったら、本当に、ハマった、わけです。

 

自分が今まで見えていた世界と、カメラを持って歩くと見える世界が全然違うんだよね。

 

鏡ごしに一眼レフで自分を撮ると「ああ〜! オレって、カッコいい!一眼レフすげぇ」って思えたし(笑)。

 

それだけじゃなくて、本当に、普段通る道が、カメラがあると特別なものに見えてくるんです。道端に咲いてる花が見えるようになって、いかに自分が今までボケっと歩いていたんだなってことに気づいたし、世界ってすごく美しいんだなって思えるようになった。

 

 

だから、一眼レフを始めた時はほとんど人は撮らずに風景ばっかり撮ってましたね。

 

葉っぱに光が透けているところ、木漏れ日を撮ったりするのがすごく楽しくて、その世界だけで満足してました。バラってめちゃくちゃ種類が多いんだなとか、雲って季節によって高さが変わるんだな、とか気づくのも楽しかったし、それを撮るために機材を揃えていくのも楽しかった。

 

買わないで「どれ買おうかな」って考えたり、家電量販店で店員さんから話をきく時間すら楽しかった(笑)。

 

人物写真を撮るようになったのはいつですか?

TSUGU:実は30才の頃、人生を振り返ったときに、小4のときからカメラをやってたことに気づいたんだけど・・・

 

その頃は、好きな女の子を、「写ルンです」で撮ってました(笑)。最初は自分で買ってたんだけど、だんだん楽しくなって、デジカメを誕生日に買ってもらってた記憶はあります。そこから徐々にカメラを買ってもらってはいたけど、趣味と言えるようなほどでもなくて・・・なんとなく撮っていた感じ。

 

一眼レフで人を撮影するようになったのは10年前、2010年頭くらいかな。

 

5つ上の兄貴がいるんだけど、その友人に釣り雑誌のプロカメラマンがいたんだよね。

 

その人と話していたら「TSUGU、人を撮れないとやっぱり仕事にはならないよ」って言われたんだよね。

 

その頃は、プロカメラマンって雲の上の存在で、自分がプロになれるとはまったく思ってなかったんだけど・・・仕事にする、しないじゃなくて、人を撮れるようになったら楽しいかなって思って。それがキッカケになって「オレも人を撮ってみよう」って。

 

それで、友達と遊びに行ったときに、撮らせてもらったりするようになった。

 

その時から今に至るまで、ずっと人物写真は撮ってきてるけど、“モデルさんを撮る”っていう経験はほとんど無いんだよね。ポートレート以外にもサロン撮影や店舗、セミナー、ブライダル、保育園の運動会や発表会なんかで撮影をしてるけど、全て人に関わる撮影で、みんな素人さんですね。

 

 

最初は全然イケてなかった! トライ&エラーな1年目

勤めていた会社を辞めてカメラマンになるのは、決意が必要だったのでは?

 

TSUGU:自分のカメラ熱が徐々に上がっていくのと同時に、会社で働く意欲がどんどん下がっていっちゃったんです。

 

会社に行くと「なんで自分、こんなことやってるんだろう」って思うようになった。

 

でも会社って、行って仕事すれば、お金は貰えるからさ。辞めたり、転職するって決意するのも大変だし。その頃は独立してやっていく自信もなかったし・・・どうしたらいいかなぁと考えて、いろんな人と会って話した方がいいのかなと思い始めて、社外の人と会っていくようにし始めたんだよね、当時。mixiとか使って。

 

それで色々な人と会ったり勉強していくなかで、決めたことがあるんです。“大好きなことを仕事にしよう”って。「じゃないと、人生後悔する」って思った。じゃあ何をしたいのかって考えた時に、「オレにとってそれはカメラだ。写真を撮ることだ」って気付いた。

 

それで、会社を辞めて、カメラマンになろうって決めました。6月か7月くらいだったかな・・・それで、9月末に退社した。それで、10月1日から「カメラマンです」と名乗り始めました。

 

 

実は退社する直前、8月の後半から一ヶ月ほど、初めての写真展を開催したの。北池袋にあるシェアハウスでやったんですよ。知ってる人しか来れない写真展だよね。でもその写真展に、延べ300人くらい来てくれたんです。それで、まぁ・・・調子に乗るわけですよ(笑)なんかオレ、イケんじゃねえか?って。

 

イケてたつもりが、イケてなかった?(笑)

 

TSUGU:なにしろ、そのあと半年で5件しか仕事が来なかったからね! 本当に浅はかだった(笑)。

 

起業に対してあまりにも準備不足だったし。営業ってどうやっていいのかが、そもそもわからなかった。無知過ぎたよね。でも逆に言うと、何も偏見がなかったから、それは良かったんだけどね。

 

本読んで学んで、ノートに写して、何回も見返したりしてた。セミナーに行ったら「払った金額の10倍の価値を受け取るためにはどうしたらいいんだろう」って考えて受講してみたりとか。セミナーに参加した人と仲良くなって絶対にその人から仕事を貰おう、って決めて行ったりしてたね。どんどん貯金が無くなっていくから、向上心というか、切羽詰まり方はハンパなかったと思う(笑)。

 

でもカメラに関してはセミナーや教室に行ったりしたことは無くて、完全に独学。カメラマンになる前に学校に行こうとかも思わなかったし、先生に弟子入りしようとか、スタジオに入ろうとかもしなかったな。したくなかった、というよりも・・・あまりにも無知すぎて、そうした方がラクなのかどうか、よくわからなかった(笑)。自分でやるしかない!と思ってたね。

 

それだけ大変な状況でも、ポジティブに活動されていたのですね。

 

TSUGU:ビジネスを学ぶにしろ写真を学ぶにしろ、「とりあえずやってみよう」ってスグにやるようにしていたし、うまくいかなくても、元々まったく出来ないわけだから、「そりゃうまくいかないよね」「またやればいいでしょ」くらいに思ってたね。出来なくて悔しいとか、恥ずかしいとかはあんまり感じなかったな。

 

撮影している人の色を出すには、自分と向き合ってもらうしかない

TSUGUさんは、教えることと撮影すること、両方を仕事の柱にされていますね。

 

「写心の学校」では、写真も教えるけど、習いに来てくれた人の人生のステージを1段階、2段階上げるようなきっかけや環境を作りたいなと思ってやってます。それって結局、自分自身と向き合うことになると思うのね。つまり、「なにを撮りたいのか」ということを、より意識できているかどうか、ということにかかってくる。

 

「写真を撮り始めたけど伸びない」「自分の色、どうやって出そう」と悩んでらっしゃる初級者くらいの方が来てくださるのがいいかな。もちろん、ゼロからベースの入門者も受け入れられるけど、そうとう、ガッツがないと伸びない(笑)

 

 

レッスンでは“オレの色”を入れないように、気をつけてます。そこが難しいところだよね。ガツガツ教えようとしたら教えられるし、宿題出したりして「こういうことやってきなさい」っていうのも言えるんだけど、そういうことをやっていけばやってくほどオレの写真に似てきちゃう。

 

でも、それだとオレの劣化版コピーになっちゃうじゃない? そうならないように、いつも「難しいなぁ」と思いながらレッスンしてますね。

 

TSUGUさんの学校を経て、プロになった方もいらっしゃいますか?

 

TSUGU:レッスンは受けたけど、受けて終わり、という人もいるし、プロになってる人もいるよ。全くのゼロからのスタートだった人で、2〜3年くらいでお金をもらって撮影するようになってる人もいます。でも好きな写真を撮って、ビジネスという形にしていくのは、やっぱり、そうそう簡単なことじゃない。だから、プロになってる人は、やっぱり少ないけどね。10人くらいはいるかなぁ。

 

「その人そのもの」じゃない、雰囲気や空気、人柄を撮りたい

1時間1本勝負という撮影会。

 

TSUGU:「100人撮影」を始めたのは2016年の5月なんだけど、その前年は教える仕事が予想以上に多くなっちゃったこともあって、オレ自身が撮影する機会がすごく減ってしまったのね。

 

それでオレの中で「撮りたい!」という気持ちが大きくなってしまって。

 

とにかく2016年はたくさん撮りたいなと思って、どうやったらたくさんの人と関われるかなと考えた時に、その時の自分の実力や、コミュニケーションするギリギリの時間を考えて、今のかたちになりました。

 

 

それまでも、ワンシーズンに1回は大きな撮影会イベントをやっていたんです。

 

そのイベントでは1日15人〜25人とかを撮影してたんだよね。でもそれは本当に“お試し”という感じだった。

 

その経験から、それよりは1人の撮影時間を長くして、密にコミュニケーションを取って写真を撮っていきたいと思って。そうすると、撮影時間はやっぱり1時間位は必要だなと思った。オーバーしたり、自分をリセットする時間を含めると、ワンセット90分枠。それなら1日で5人いけるんじゃないかと。

 

100人やると考えると、1日4人だと25日かかるけど、5人撮影できれば20日だよね。そのキリの良さも決め手だったかもしれない。大変ですけどね(笑)。この「100人撮影」で、これまでもう500人以上撮影してきました。

 

打ち合わせを綿密にする理由は…

 

TSUGU:そう、ほんとは、自分の撮影スタイルとしては、打ち合わせしたいんですよ。ちゃんと互いを知ってから、撮りたい。

 

なんのための写真なのか聞いて、洋服もどうしたらいいか相談して、何処で撮るか場所も相談して・・・って思ってるんだよね。

 

 

例えば最近、ブライダルフォトを依頼されて撮影した時は、そのカップルと事前にご飯を一緒に食べて打ち合わせもしたし、挙式会場に行って会場下見もしました。

 

それでだいたいのイメージを掴んでおいて、あとは自分の感じた通りに撮っていく流れだよね。いろいろ余裕があれば、そのくらいコミットして撮影したい、というのがそもそものスタンスで、そこは貫きたいところかな。

 

だから、「100人撮影」は特別な撮影だと思ってやってます。自分にとってもちょっと修行みたいなところがある(笑)。会ってすぐにコミュニケーションを取り始めて、心の距離を短くしていきながら、短時間で結果をキチンと出せるようになっていきたいという気持ちもあって、やってるところがあります。

 

実はカメラマンになるって決めてから最初にもらった仕事は、ブライダルカメラマンのサブだったんだけど、その後ブライダルカメラマンとして専門でやっていこう、というふうには思わなかった。やっぱり、一番、自分の撮りたいものは「非日常感」では無くて、あくまで「日常」なんだと思う。

 

ただ、「日常」ではあるんだけど、「日常の最高到達点」を撮りたい。

 

そこがオレの守備範囲という気がする。その延長で、「最高到達点」をどんどん拡げていこうよ、って伝えていきたいというのがあるので、服のコーディネートとかに派生しているんだろうね。

 

 

“人柄写心家”ができあがった道のり

 

TSUGU:一眼レフを始めた頃の、光や景色、雰囲気を撮影したい、ということの延長線上に人物写真もある気がしていて、

 

カメラマンとしても「その人を撮りたい」というよりは、「その人の周りにあるなにかを撮りたい」んだよね。その人が持っている空気とか雰囲気、性格、人柄・・・

 

そういうものを撮りたい、と考え続けた結果、人柄を写す、心を写すカメラマンで“人柄写心家”が出来上がっていったの。その人の「自然な」表情を撮りたいというのはずっと根底にあるような気がしています。

 

最後に、今後の予定を教えてください。

 

TSUGU:今年は「100人撮影」を秋にもう1度やるし、「写心の学校」は8月26日から募集で10月から3月まで半年間開講します。またホームページで告知しますのでチェックして貰えたらと思います。

 

また来年以降は、これまでより少しゆったりと仕事をして、作品を作ったり、新たな視点や技術を得るための勉強にも時間を割いていこうと思っているので、今後の活動も期待していてください!

 

取材・構成:かのうよしこ
HP:http://kanoppi.jp/